あとがき

心中心臓(しんじゅうしんぞう)。
片の薔薇(かたのばら)。


薔薇心中」の続編。
タイトルはしりとり風に。

半分はあの子の、半分は自分の心臓。
末端から動かなくなっていく体。
それは罪過故。
あの子が逝ったこの場所で、この心臓は止まる。
(その場所に初めて行った時)


「薔薇心中」は心中ものを書きたくて書いたものなんですが、
果たしてあれは純愛だったのだろうか、と考えると、いや違う、と思うのです。
純愛っぽく纏めてみましたが、アノ子があの子に死ぬように提案したんです。
どちらか一方が死んで、心臓をひとつにしようと。
その時の彼に、愛はあったのでしょうか。
本人が気づいていなくとも、失われていたと、私は思うのです。

それはあの子の分の心臓のせい?
それとも胸の薔薇飾り?
いいえ、総ては彼のせい。
想いをなくした彼のせい。