草白水蓮

木漏れ日の森の中
甘いめまいに揺れて
気だるい熱を呼んで
眠りに融けた

耳へと届いた囁きと
鳥の声に呼び覚まされて
白い水蓮の莟を見つけた
近付いて触れてみたくても
片割れがそれを赦さなかった

閉ざされた手のひら そっとくように

水が香り立つ夜
蒼白のが啼いて
沈んだ実を掬って
秘密をった

静謐に潜む水の糸
華を浮かべたの闇の
白皙の肌の冷たさは
陸にあがった魚のように
束縛の腕をすり抜ける

あきらめの瞼 静かに綴じるように

揺れる水面
囚われの華
微笑みの罪
塞いだ願望
秘め事の影
砕けた硝子
白の叫び。


昼と夜を半分ずつ
紡がれなかった言葉の沼で
秘めた想いにわれ
碧玉の底に沈んでいった