initial triangle

椿が泣いた
たったそれだけ。
それだけで私、幸せだった


ひととせの流れ。
彼が消えたそのあとで
椿はあれから泣いていない
ぽつんとひとり佇んで、
見えないものを視ているように
私の姿も映さない

突き刺さる、
視線
嘗て彼がしたような
揺らめいて、
水面
いつでも私は傍観者

放つ声も届かずに、
あの日椿は死にました。
水の中に沈み込み、
私のものになりました。